6/3 社会構想チーム発表

ものすごく遅くなって申し訳ありません…。6/3のゼミの報告をしたいと思います。

グループ発表3回目ということで、今回は社会構想チームが「理想のコミュニティの在り方を視野に入れながら、現代社会について望ましい形態を検討する」ということをメインテーマとして発表を行ってくれました。

まず、共通認識として、人との関わりは人間にとって必要であるとしたうえで、他者との望ましい関わり方を考察する、という流れを提示しました。そして、チーム全員が「タテ社会の人間関係(中根千枝著、1967年)」を読み、問題点を探りました。

「タテ社会の人間関係」によると、

「一定の個人からなる社会集団の構成の条件は
・『資格』(社会的個人の一定の属性)の共通性
・『場』(一定の枠によって、一定の個人が集団を構成している場合の共有)
に分けられる」

として、日本人はこの「場」によって縛られ、枠による圧力、ひいては窮屈さを感じてしまうとしました。

これからなるコミュニティの問題点に対して、各自で解決策を探っていく形で発表が進みました。以下、各発表の簡単なまとめと考察を行います。

 

1.人間と空間・時間

なぜ交流に着目するのかを自分の体験を理由にしたうえで、家庭、自分の属さなくてはいけない組織、そしてサードプレイスが必要であると述べました。

また、他者との交流が幸福感に結びつく一方で、ストレス、孤独感の原因になっていること、学校やそれ以外の交流の現状についても言及し、この現状に当てはまる「無言社会」というモデルについて考察しました。

「無言社会」には「場」の意識が残っていること、信頼の欠如や周りからの同調圧力による窮屈さにも触れました。

今後どうするべきかという解決策に向けては、制度的補完性の考え方に基づき、時間・空間・人間への総合的なアプローチをすべきであること、「無言社会」の中でのサードプレイスの重要性、またサードプレイスとしての商店街の再生を考え。結論としました。

 

2.集団的葛藤の緩和

人が集団をつくる理由として、古来よりの集団行動をあげ、また、権威主義的パーソナリティによって不安を解消しようとする傾向があることを述べました。

次に、現状の認識で、集団においての行動とメリットについて言及しました。集団の枠意識、リーダーと従う人の快楽をメリットとしてあげました。また、集団葛藤の要因として、ステレオタイプについて触れ、社会をとらえやすくするために集団のレッテル張りをすることや、集団内での圧力、集団の統一意識などから仲間外れのメカニズムを考えました。

こうした問題の解決策として、自集団の客観視、個人を重視すること、集団規範の拡大などをあげました。

 

3.ケア的側面から生きづらさの解消方法を探る

マイノリティの生きづらさの原因を、差別する側、される側のケア的側面から解消する方法を探りました。

現状について、差別される側の内面問題である社会的知覚、相手をどう見るかの問題である対人的認知に言及し、集団から個への圧力を問題視しました。

これらをどうするべきかについて、当事者の自覚を持つための当事者研究を行い、自分と相手の適切な距離をとること、自己評価の改善を行うことを提案しました。また、当事者研究をコミュニティスペースに持ち込むこと、個人の改善による対人相互作用の円滑化が良いのではと結論づけました。

 

本当はこの後4人目大野くんの発表が続くのですが、時間切れによりここでいったん終了に…。来週に持ち越しになりました。

 

<まとめ>

コミュニティの望ましいあり方について、それぞれ異なる視点から論じられました。その根本的な問題は、前述した「場」にあるというのが共通した認識でしたが、「タテ社会の人間関係」が表された当時から今まで、人間関係の構造に変わっていない部分が問題になっているのが興味深いと感じました。また、いわゆるスクールカースト制を感じたことはあるかという問いに、ゼミのメンバーほぼ全員が感じたことがあると答えたのも印象に残りました。子どものうちからそういったコミュニティの圧力を感じていることが、現在言われがちな「コミュニティ力の低下」につながっているのかな、とも思いました。

広井先生もおっしゃったように、非常に密度の高い充実した発表と議論であり、コミュニティが居心地のいい場所になるには、総合的、多角的な視点から考えていかなくてはならないと感じた発表でした。

次回はテキスト回で、「イメージの心理学(河合隼雄・1991)」を読みます。

長くなりましたが、お読みいただきありがとうございます。最後にもう一度、更新が遅れて本当にすみませんでした…。

 

(記:鈴木)